2019-05-30

3日外に出ず

今のレジデンスで私が何をやっていたかお披露目するオープンスタジオが6月19日にあります。その日のために新しい本を作っています。
(猫の絵は結局ボツになりました)



あまりに熱中しすぎて、3日丸々
外に出ていないことに気づいて慌てて散歩に出かけた。
やっと帽子が役に立つ、暑い日だった。

誰やねん


3日も外に出なかったのは自分でもびっくりしたけど、理由は簡単。ここは全部揃っているのです。制作するためのもの・環境が全て(食べ物以外)。愛くるしい犬もいて、世間話する楽しいスタッフのみなさんがいる。天国。
そして自然に囲まれていて、部屋に光もたくさん入るから「ひきこもってる」感ゼロ。朝はみんなでコーヒーを飲むし、お昼ご飯もみんなでテキトーに食べて、人と交流はしているしね。


本もほとんど終わってしまって、少し悲しい。
このことについてもまた今度書きます。

とはいってもまだまだやることがあるので、引きこもり生活はまだ続きそう。でもそれを見かねたJMが色々声をかけてくれて、ありがたい。
確かに時々体は動かさなきゃね。

2019-05-29

多言語の共存

カイルが私のアトリエを綺麗にしてくれた。
汚かった壁がすべて真っ白になった!

彼はカナダ人で、フランス語を全く話さない。
「少し」という意味のun petit peuをおぼろげに言ってくれた時はめちゃくちゃチャーミングだと思った笑。パートナーはフランス語の先生らしいけど、彼女はバイリンガルだから全然上達しないそうだ。


ここではこんな風に突然完全アングロフォン(英語を母語とする人々)がやってくるから本当に面白い。ジョンのイギリスアクセントとはまた違うから、さらに面白い!

Axenéo7と共同で同じ建物にオフィスを構えるDAIMON(ダイモン)のメンバーも、一人はケベック生まれの女性(ほとんど仏語しか話さない)とマイケル。マイケルは仏語も全然話せるけど基本英語で、仏語で話してても英語で返してくる。
なんか、いろんな言語が混じってて楽しい環境です。

日本では地方の訛りや方言があるけど基本みんな日本語しか話さないよって言ったらJMに

「それ、本当すごいことだよね!あり得ない!」と
すごくびっくりされて、いやいやカナダのっていうかここ(オタワとガティノ間周辺)の方がすごいわ。多言語の共存。。


自転車を10分こぐだけで英語を話す環境にたどり着くわけだけど、どうしてこの二言語がうまく共存出来ているのかって常に考えちゃう。

ちなみにもっとケベックの仏語を理解できるようになりたいから、オフィスの皆んなに毎日新しい単語を教えてもらうことにした。
変な単語ばっかり教えてくれるから、毎朝めっちゃ面白い笑

学生の展示

先週末、Axenéo7で学生の卒業展示が行われました。

今回の展示はcégep(セジェップ)といって予備校のようなケベック州特有の教育機関内のアート専攻の学生たちの展示でした。学生はみんな18歳〜20歳くらい。若い。みんなこのあとほとんどが大学の美術科に進むそうです(カナダにはフランスのような美術学校はなく、みな大学へ)



展示の後それぞれ個別で講評。
作品の搬出を日曜日にしてて、「やっぱここはフランスじゃない!」って思った笑。もう感覚が少しおかしくなってるのか、日曜日に働いている人を見ると「大丈夫?」って思っちゃう笑



ちなみに私が派遣されているAxenéo7は、民間のギャラリーでも地方自治体の建物でもなく、独立したアート機関です。
なので文化的にカナダ国内でとても重要なポジションを担っているとか。
「カナダ国内で」と聞いて、私は「ケベック州で」じゃなく?と聞き返したら、真顔で「カナダ国内だよ、マキコ。」と言われてびっくり。これは先日オープニングパーティでたまたま出会った人から受けた説明。

その日の帰り、Axenéo7で働くヴェロニックに
「Axenéo7は "カナダ国内" で重要な位置づけをされているの?」と聞いたら、彼女も同じく超真顔で「うん、そう。」と返事した。


そんなところでアーティストレジデンスが出来て嬉しいです。


今年は最強に天気が悪く、寒い。
まだ長袖着てる。

これはこの間たまたま天気がよかった日のアトリエ。



2019-05-28

議論白熱

オフィスのメンバーであるキャトリーヌの家にお呼ばれ。
美味しい食べ物たちをわんさか食べて、
久々に「まじこれ以上無理」っていう心理まで至った…
お腹超苦しかったけど、すんごく全部美味しかったー
ディディ以外の犬。
ワインも進み、けっこうみんな程よく酔っ払って来た。日にちが変わりそうな時間帯だし私はそろそろ帰ろうかなーと思った。

この食事会にはキャトリーヌの友人Tが奥さんと子供二人を連れて来ていた。彼らはモントリオールに住んでいるのだが、5年前に彼らが購入した一軒家の話をし始めた。当時友人の紹介で幸運なことに破格の値段で購入できたそうだ。
壮大な敷地。緑に生い茂った素敵な庭。スマフォでたくさんの写真を見せてくれた。立派な3階建ての上階の部分は学生に貸しているそうだけど、大家は毎年10%ほど家賃を値上げすることができるそうで、彼らもそうしているそうだ。

と、その時まで私と一緒に「素敵な家だね〜!」と感嘆していたJMが、突然
「ちょっと待って。え、僕、ちょっと分からんないんだけど」と真顔になってキレ出した。

JM「お金のない学生たちや若者にとって、10%の値上げがどれだけ負担になるか分かってる?」


私は最初「JM酔ってるなー」くらいしか思ってなかったけど、キレ方がけっこう凄まじくて段々心配になってきた。批判されて少しドギマギするT。

T「そうだけど、でも、僕らは毎年〇〇〇〇ドルほどの税金を払ってるんだよ。」

キャトリーヌやむしろJMの彼女も彼をなだめようとする。
でも全然応じない。批判を続けるJM。
JMはギャラリーの仕事以外にもアート雑誌で記事を書いたり、本当毎日ずっと朝から晩まで仕事している。彼女もしかり。(二人の働きようには本当驚く)
フランスの私の周りにいる友人は生活保護のシステムを利用している人がけっこういる。美大出身だと余計に仕事が見つからなかったりそもそも求人がない。失業率は高い。
カナダは失業率はフランスより低く、国の支援を受けるには条件が厳しかったりして難しいそうだ。(詳しいことは調べてないし分からないけど、そう言われた)

だから若者は働く。私がここで出会ったほとんどの人が2〜3個違う仕事をもっている(これはたまたまかもしれないけど)。オタワが近いこともあり行政関係の仕事をしている人もいるけど、みんな本当働いている。

失業率(2018年)はこのサイトだと
フランス 9.11
カナダ 5.83
日本 2.44


JM「税金をたくさん払っているのは、稼ぎがそれほどあるからじゃないか。貧乏人からお金をとるなんて…、僕は信じられない!」


Tは温厚な人で、年も私たちより15歳ほど上だ。もちろんTは大家としての権利を全うしているだけで、別に悪いことはしていない。JMに対しても大人対応をしてくれたのだけど、やっぱりキリがなさそうだったので私は
「わたし帰ります!JM、家まで送ってくれ!」と言ってJMを外に連れ出した。私の滞在先は目と鼻の先で徒歩5分。いっしょにJMと夜道を歩く。
その間もJMはやっぱりブルジョワジーに対して怒っていたが、密かに私は感動していた。だってJMが怒った理由に賛成だったから。それを身の振り構わず批判したJMはいいヤツだなあぁと心底思ったよ。確かにお酒の力は少し働いていたが。。。



最後の最後にこんな議論が起きるなんて思ってなかったけど、でも楽しいソワレでした。

2019-05-26

差別ついて考える


ガティノーにあるギャラリー(展示センター?)の、
改装オープニングパーティに行ってきました。
川沿いにあって、さらに緑にも囲まれている。
夏には屋外でイベントが開催されるそうです。いいなぁ

洪水の影響がまだ残ってる。水多い。
行ったのはここ。
L'imaginer
https://limagier.qc.ca/
奥にギャラリーがみえます。
敷地広すぎ。

オープニングパーティは見ず知らずのたくさんの人に囲まれて何かと気を使うのに、ここではもっと知ってる人がいないのでなおさら。派遣先のヴェロニックに連れて来てもらったけど、結局は一人でぶらぶらしたり飲んだり話す人を見つける。気持ち的には野生の狼です。笑 狩り!


でも結局最後の最後まで居た。
いろんな人と知り合えて面白かったです。
この展示で作品を発表していた中国系カナダ人のアーティストと話をしたのだけど、彼女の祖父母は中国人だけど本人は全く中国語を話さない。仏語も全く話さない、英語のみ。
当たり前かもしれないけど中国に行ってもやっぱりそこは外国で、とても疎外感を感じるらしい。3回しか行ったことないそうだ。

私は自分の意思で日本を離れているので彼女とは根本が違うかもしれない。でもやはり私は彼女に勝手に親しみを感じてしまい、いくらかの西洋人が心の奥底に持っている「アジア人を見下してしまう風土」について話した。

(例えば数年前になるけれど、ナント市内でアジア系男子の友人と二人で外を歩いていたら後ろから「国に帰れ」と言われた。一人で歩いてるとそんなこと言われないのに、二人になった瞬間そんなことを言うケツの穴の小さい輩がいる。
あとナンパを目的とした「ニーハオ」はよく言われる。一度工事中のオッサンにすれ違いざまに言われて無視したら、彼は同僚に顔を向けて「なんだ、全然うまくいかねーじゃん」と言っていたのが聞こえて腹が煮えくり返そうになった。あほらしい。
私を中国人と思ってニーハオと言ったなら別に問題ない。見た目で区別出来ないもんね。でもナンパしたければ堂々と「bonjour」と言えばいいではないか。そもそも何であんなニヤニヤした感じでニーハオと言うんだろう。これは根本的にアジア人を下に見ているからだと私は思う。アジアには中国だけじゃなくて他の国もあるってことも知らない、教養のないオッサン)


すると彼女は驚いた顔で
「まだそんなことが言う奴がいるの?」
と呆れた顔で言った。

私はその「まだ」に驚いた。
まるで遥か昔の話をしているようだった。カナダは本当に進んでいるなぁと思った。っていうかフランスが遅れているのなら、日本は一体どうなる。



この間トロントで参加したブックフェアも、参加前に注意事項を記したメールを企画者から受け取った。そこに差別に関しての記述があった。

「このブックフェアは万人の人に開かれたイベントであり、人種差別、ジェンダー差別、LGBTQ、パワハラ、モラハラ、宗教などいかなる形態の差別やハラスメント、また、虐待的な言葉やいかなる種類の嫌がらせも硬く禁じます。万が一そのようなことが行われる現場に居合わせた場合は即スタッフにご連絡ください」


こんなしっかり記載があるのを見たのは初めてで、私は密かに感動していた。けど
こういうことが禁止されるのは当たり前のことで、わざわざ書く必要はないのかもしれない、と思い直した。だけどババァーンと「これはダメ!」と言葉にして記しておくアクションがあるのは立派。
私はフランスをかなり自由の国だと思っていたけども、ここにいればいるほど「カナダまでではないかも」と思ってしまう。まぁでも単純に、カナダの大都市にはアジア人が本当たくさん居過ぎて、しかもみんな英語や仏語が母国語だから全く「よそ者」じゃないんだよね多分。



カナダで全く差別がないと言っているんではありません。でもフランスより格段に少ないと思う。




敷地内にはいろんな彫刻やベンチ。
おきにいり

色々考えさせられた夜でした。

っていうか単純に色んな色の肌をした人たちが混じり合いすぎて、そんなこと言ってらんないんだと思う。そうやって変化を享受していく方が、私は未来があって、もっともっと楽しいと思うんだけど。もちろん同時に色んな問題があるのは百も承知で。

2019-05-25

いろいろ

アトリエ前の敷地、草刈り。



水彩画用紙がなくなったのでまた自転車でオタワまで一走り。
本当近すぎる、オタワ。便利。

このスクールバスが可愛い。
なかなか写真を撮る機会に恵まれませんでしたが、昨日アトリエから一歩外に出たら、とまってた。


以前写真を撮ったことのあるパン屋が気になっていて、いざ入ってみた。なんとそこはベトナム人の方々が営むパン屋であった!するとカナダらしく?巨大サイズのサンドイッチやドーナツの影に、こっそり肉まんを見つけた。
笑顔が素敵なおばさんに癒されながら、お店をあとにした。肉まんちょー美味しかった😭歯ごたえのあるガッツリドーナツも美味でした。

いい味まるだし

ここには野生のリスが大量にいるが、モルモットもいる。けっこうガッツリ太っている。たまらなく可愛いのである。



2019-05-24

追記:アメリカ→カナダの国境

すっかり
先日アメリカからカナダに戻ってくるときの国境の話してなかった。

(久々にキノコ書いたな…)


カナダ→アメリカはこうだったので非常に不安な精神状態で国境を迎えたわけですが、当たり前だけど、わたしたちを迎え入れたのはカナダサイドの国境管理官。
(あっあの怖いアメリカ人たちじゃないんだ)と思った瞬間少し肩が軽くなった。

「全員バスから出てください」
と言われ、出る。

「荷物を自分の前に置いて一列に並んでください」


これから何が始まるんだーと思っていると、車から犬が出てきた。そう、麻薬犬だ!!

麻薬や大麻なんて私がもっているはずもなく、ここは全然緊張しなかった。犬よりアメリカの国境管理官のお姉さんの方が怖い。


犬は指導されながら何度も私たちの間を駆け回り、車に自分でサッサと戻って行った。賢い。

そのあとは全員建物の中に入ってパスポートチェック。
緊張の瞬間到来。



チェックしてる人たちがフランス語を話しているのを聞いていたので、
私の番がきて、「Bonjour」と言ったら少し驚いたような顔をしてフランス語で話し始めるおっさん。

おっさん「どこに住んでいるの」
私「フランス」
おっさん「カナダには何をしに?」
私「観光」
おっさん「目的地は」
私「ガティノー」
おっさん「!!ガティノー!?ははは、そんなところに何しに行くの?笑」

笑った…
えぇーまじでーオッサン笑ってるよー
ありがとー😭


あのアメリカの鉄の女(と呼ぶことにする)が、本当にうんともすんとも笑ってくれなかったので、おっさんの笑顔に軽く安堵する私。
「ガティノーには友達が住んでいるんです」
うんうんと頷き、滞在期間などは何にも聞かれず、そのあと荷物の中に大量のお金やお酒や武器などないか聞かれる。

ないよ。と私。
おっさん「アメリカで何をしていたの」
私「バーリントンに行ってコンサートを見た。でも1日だけの滞在でカナダに戻る」
そのあと私のパスポートを見て
おっさん「いつカナダに入国したの?」
私「2週間ほど前。ハンコ押してあるはず」
おっさん「ほんとだ!ハンコがある。ハンコが無いことがよくあるんだよなぁ」
私「わたしハンコ押してって、頼んだよ
おっさん「君が頼んだのか!」
横にいたおっさん2「君はよくやった。最近入国審査官はもうハンコ押さなくなっててね。全部いちおうICカードにインプットされているから問題はないんだけど。やっぱりこちらとしてはハンコが押してあると安心」


ハンコ要求しててよかったーーーーー



何事もなく無事終わった…はやっ
そして感じ良すぎのカナダの人たち。



こんな違う対応されると、アメリカに今後行きたくなくなる。でもそう思ってしまうことが多分アメリカの思う壺なんだ。
先日食事を共にしたアメリカ人も、アメリカ人なのに(自国に帰るだけなのに)やっぱり国境を通過してアメリカに戻るとき緊張するらしい。パスポートはもちろんだけど車や持ち物のチェックなどが大変厳しいし、アメリカ人相手でもやっぱりめちゃくちゃ感じが悪いそうだ。

ちなみに飛行機で入国・出国の際のパスポートチェックは、陸路よりも簡単らしい。

2019-05-23

スキャナーとチャリ

今新しい本を制作中。
スキャナー使わせてほしいって、オフィスにデッサン持って行ったら、まるごと貸してくれた😱

しかもパソコンまで貸してくれた。びっくり。
全部私のアトリエに持ち込んでくれた。
このパーフェクト待遇はなんだ、本当にすごい。


ちなみに昨日さっそく自転車でオタワまで行ってきた。ヘルメットも貸してくれて、見た目はそれっぽい。(今度写真撮ります)

サドルがめっちゃ高いので、停止するとき足がぎりぎりつくくらい。(足が短い)
異国の地で自転車を運転するのは緊張したー
けど気持ちよかったーーー
歩道を走ってるのを警察に見つかると
罰金を払わなきゃいけないらしい。
でも時々そんなこと言ってらんないし、歩道走っちゃったよ。

自転車レーンを走ってる時は安心だけど、やっぱ巨大な車たちが私を追い越すたびにドキドキした。


この前JMの車に乗っていて、彼は赤信号なのに右折した。わたしが「え!信号赤だよ!」と言ったら
「ここでは信号が赤でも、周りに歩行者などいなければ右折していいんだよ」
(ちなみにここは左ハンドル右車線運転。日本とは逆です)

まじで!😱😱😱

なのに、モントリオールではそれが禁止らしい。
なんじゃらほい!!!
こんなことを知っちゃうと、実は自転車で運転するのかなり怖かったのだ。でも安全運転でゆっくりいきます。



適度に汗をかいて帰ってきて制作をしたら、いつもより進んだように思う。やっぱ運動すると頭も気持ちがいいんだろうね。また自転車で街に繰り出そうっと


2019-05-22

フランス語の闇

昨日、派遣先のギャラリーで出会ったアーティストたち(ケベック出身のカナダ人とシカゴ出身のアメリカ人)と話をしてて、思い出したことを書きます。今回ちょっと長いです。

(みんなでイタリア料理)

金沢美大で学生をしていた頃、ベルギー人の友達Sが出来た。
彼女は当時市役所で働いており、美大の先生の計らいで知り合った。フラマン語、英語、日本語、そしてフランス語を自由自在に操る彼女。当時私はフランス語を勉強し始めたばかり、外国人の友達が出来たということが、それだけで嬉しかった。



そうとう昔のことなので詳しいことまではっきり覚えていないが、ある日彼女から連絡があった。
「うちでパーティをするから来て!フランス語を話す会。フランス人の友人も来るよ。マキコも一緒にフランス語勉強しよう」


金沢で学生をしていても、なかなか外国人と触れ合うことはほとんど皆無。嬉しかった。とってもドキドキしながら彼女の家に遊びに行った。


ピンポンを押して中に入ると、当たり前だけど外国人ばかり。10人以上はいたかもしれない。
「最近習ったフランス語を試してみるチャンス」とドキドキわくわくしていたのは、その最初の1分だけだった。そこにいた人は皆レベルがめちゃくちゃ高く、普通に問題なく仏語を話している。
全く文法もおぼつかない初心者中の初心者を
好んで相手する人は誰もいなかった。



いや、いた。みんな受け答えはしてくれるのだけど、なんせ話が続かないので皆んな英語を話し出す。でも私は当時本当に英語も全く出来ず、ただひたすらみんなの話に耳を傾けるのみだった。Sも私のお世話ばかりしてられない。
みんなあんなにいっぱい笑って楽しそうなのに、私は全くもって一瞬足りとも楽しくなかった。テキトーに笑って過ごすんだけど、それも辛すぎて最後の方は愛想笑いも出来なかったと思う。




そんなに辛ければ早く帰ればいいものを、なかなか言い出せず、でも勉強になるしなぁとか思って私はずっと残っていた。(本当に私はバカだ)
途中、囲碁を勉強しに留学に来ている仏人の学生と話(ジェスチャーで話?)をしていた。
全然聞きたいことが聞けない。相手も白け始める。彼は日本語を話さない、日本語で言っても全然伝わらない。すごくツマラナイ雰囲気になる。


すると彼が一言、
みんながいる目の前で、堂々と、

「きみ、もっとフランス語勉強しなきゃ。全然分かんないよ」

って言った。
(奇妙にもこのフランス語は完璧に分かった)




その瞬間、
今でも覚えてる。
彼の顔も覚えてる。
どんな言い方で言ったのかも覚えてる。
これでもかってくらい、
正真正銘の嫌味だった。




そして
頭が真っ白になって、
頭の中身が全てズタズタになった。
その場の空気がシーンってなった。






あのね、


そんなこと言われなくても、


誰よりも



分かってる。

あんたなんかよりも、
数億倍、
自分が分かってるっつーの







その日の帰り道、すんごく泣いたと思う。
悔しくて、悔しくて、すんごく泣いた。
同時に、あれだけ真っ正面からハッキリ言われて
ものすごくショックだったのが、
その後の仏語勉強の糧になったかもしれない。

なんて、

当時、私は本当にアホで
その時の言われたことをプラスに考えていた。

最近までは。






それから時が経って私はフランスへ渡り、
美大のマスターを卒業して、
今なおフランスで制作活動を続けているわけだけど、
もちろん語学はいつまで経っても勉強中だ。


ふとある日、
あの日の出来事をふと思い出すことがあった。
色々思い返した。
そしたらすんごく腹が立って腹が立って仕方がなかった。





外国語を頑張って学ぶ人を、よく、
あんな風に人前でけなしたなって。
自分は日本語が出来ないことを棚にあげて
よくもまぁあんな酷い言い方をしたなって。



フランス人がフランス語をとても誇りに思うのは結構だ。間違ったフランス語や変なアクセントで話した時、好意から訂正してくれるフランス人がたくさんいる。それは私のためになるから有難いことだと思ってたし、今も勿論そう思ってる。

でも、
今わたしは恋人がイギリス人だし、期間限定とはいえどカナダにいるということで、英語圏の人と英語を話す機会がものすごく増えているのだけど、

一回も、誰にも、そんな風に訂正されたこと


ない。






私が自分のブロークンイングリッシュにうんざりして
「ごめんね私の英語。めちゃくちゃで」と言っても

「牧子の英語、ちゃんと理解出来るよ。
 間違いなんて気にしないで、続けて」
って言ってくれる。

ジョンにもキティーにもアンディーにもメアリーにもソフィーにもイギリスの他の友達にも、この前トロントで会った人々
誰一人にも
「そこはこういうんだよ」なんて訂正されたこと、「ない」。


ジョンに「もっと正確な英語を話したいから、間違いを訂正してほしい」って言ったことがあるのだけど、彼は
「僕は何も言えない。だってきみは僕の言語を勉強してくれているのに、それを訂正するなんてそんな権利ない。きみの話はちゃんと分かるし、きみの英語は素晴らしいよ」
て。。。
それ言われた時泣きそーーーーになったよーーーまじでー😭😭😭

ちなみに彼は「僕なんて2年も東京に住んでいたのに全然日本語話せないんだよ(ドヤ顔)」笑 ドヤ顔するところじゃない笑
「しかも君はフランス語が話せるんだ。すごすぎる」



声を大にして言いたいが、私の英語は本当にビギナーだしめちゃくちゃだ。日本語っぽい仏語っぽい変な訛りもある。けど何人かの友達に「牧子の訛り、すごく珍しくてなんかめっちゃクール!いいね!」って逆に褒められたことがある。
こんなことって、ある?
信じられないけど、奇跡的にあるのよ。



こういう優しさに触れて初めて、
金沢で見ず知らずのフランス人に言われたことは、全然普通じゃなかったって気づいた。人の努力は絶対に笑ってはいけない。誰にも笑う権利なんてない。
日本ではよく外国人が日本語を話していると、変にモノマネしたりからかう人がいるけど、なんで?その人は頑張って勉強しているんだ、何が面白いんだって思う。



私が今いるケベックの人と話していると、彼ら独特の訛りや言い回しがわからないことがある。同じフランス語と言えど、けっこう違うことがある。
フランス人はよくケベックの訛りをバカにするんだけど、なんでだろう?何が理由でフランス人の話すフランス語の方が偉いんだって思う。


昨日一緒に食事をしたケベックのアーティストが、フランスでレジデンス中「無理やりケベック訛りを直した」って言ってて、本当に悲しい気持ちになった。彼女がなんでそんなことしなきゃいけなくなったかって。本当に悲しい。なんで彼女がそんなことしなきゃいけないの。


っていう一連のことを、昨日初対面の二人と話していた。会話はほとんど英語。でも私のためにゆっくり話してくれたし、すごく楽しい夕食だった。




学生の頃の私に一言言いたいのは、
「そんな酷いこと言う輩は、外国語を真剣に学ぼうとしたことがない人だ。人の努力をバカにする人ほどろくなやつはいない。あなたは外国語を取得しようと勉強し始めた、それだけで素晴らしいのだから、マイペースで頑張って」
かな。



あぁ、
それにしても 今思い返しても、
あの日は辛かったなぁ。。。


英語を学び始めたことによっていろんな世界が広がると共に、(フランス人の話す)仏語の闇にも気付かされます。

待ちに待った自転車


「ユーグ(去年派遣されていたアーティスト)のために去年自転車買ったんだけど、牧子も乗る?」

と言われ、「ウィいい!」とは言ったものの、

「ごめんー地下に置いてあるけど、鍵が見つからなくて自転車が出せない!」と言われてから早3週間(笑)

さんしゅーかーん

JMは本当に忙しいんだ。
だけど、しびれを切らして、あくる日
JMに「自転車…」と言ったら
「あぁ本当にごめん!あとでマイケルと一緒に地下を見に行こう」
という。
(「あとで」って言った…😭 「あとで」はここでは3週間。)

そのあとたまたま廊下でヴェロニックとすれ違ったので
「自転車…」と話したら(もう自転車おばさんだ笑)
「今見に行こう!」と言ってくれて、見に言った。

そしたら、広大な毒毒しい雰囲気の地下室に連れて行かれて、私の興奮度はマックス!すごい、こんな場所あったんだ!ワクワクどきどき😍
なのに私のワクワクとは裏腹に、自転車は…なかった。。

JMも加わって、3人で探しても、無い!





哀れに思ったJMは
「新しいのをマキコに買ってやろう」
と言ってくれた。でも新品買う予算がないのはわかってるし中古で探そう、と自ら提案し(なんてギャラリー想いのアーティストなんだ)、
しかもオフィスのみんなよりも先に(!)安くて良さそうな自転車をインターネットで見つけ出してしまった。。。
速攻でヴェロニックが電話して予約してくれた。


その日の夕方買い物から戻ってきたら、
アトリエの前に自転車が。

これこれ

はや!!!!!!
その日のうちにもう!!!!!

ということで、天気さえよければ
もっと色んなところにいけそう。行動範囲一気に広がりますー

2019-05-21

制作

ベッドから起きて、階段を降りたらそこが仕事場。
制作のことだけ考えて日々が暮らせるなんて、本当に私はラッキーガールです。ありがとう。

少しずつ気温はあがってはいるものの、
昼間でもまだ軽いコートは着て外に出る。

いままでいっぱい遊んでたけど(半分仕事だけど)、
アメリカから戻ってきてからちゃんと本腰入れて制作しています!
6月19日にオープンスタジオがあるので、その日に向けて本とか色々作る。
こんな巨人が突然外に現れた。

これ全部シリアル。
売ってる牛乳の量が多いのも、納得できます。
これ一個買ってリュックに入れたら、他にリュックには何も入らない。



 
コルテオ 太陽光発電