2022-02-26

流し込み。

流し込みを待つ鐘(の周りの造形)。 土に埋まっている。あっつあつのブロンズが、左奥から流れてきて右の通路を通って真ん中へたどり着く。
大量の薪。
窯。
みんな汗ダラダラになりながら薪をめいっぱい入れて温度を徐々にあげていく。
窯の中は異世界。
最終チェック。
美しい世界。
 
 
いよいよ時計は11時を過ぎる。
今回集まったのは全部で20人くらい、ほとんどがフォントヴロー修道院関係者。
 
専用の防護服に身を包む。これ消防士が着るやつ!ずっしり重い。
この私が立っているところ、実は一番鐘に近い。
「『牧子の』鐘なんだから!」ということで、社長夫人が「牧子はここにいて、全部を見届けなさい!」と言った。ものすごく恐れ多い感じがしたのだけど(あまりに近くて)、でも確かにそうだ、わたしが責任を持って装飾を手がけたのだから、ここは自信を持って流し込みを、鐘の誕生を見届けようではないか!と思った。
 
この時点ですでに込み上げるものがあり、実際目には涙が溢れていた。文章ではとても表現できない美しさがその場でみんなに共有されていた。
 
そのとき社長夫人が「窓に蝶がいる」と言った。
こんなときに、蝶?と思ってふっと見た瞬間 以前どこかで読んだ「蝶は故人の魂を表している」 というのを思い出した。すると自然に(勝手に)みのきちさんとシゲ子おばあちゃんではないかと思った。
実は鐘の制作中、お守りとして持ってきていたおじいちゃん(父方の祖父で、岸田劉生の弟子だった名も無き画家)の筆を、ひょんなことから使うことになったから。あくまでお守りであって、大切な筆は使うまいと思っていたのに。
 
鐘のいく先を見届けたかったのか、蝶になってやって来た?
 
もちろんただの憶測だし そういうスピリチュアルな話は苦手、という人もたくさんいる。でも勝手にそう思ってもいいじゃないですか!
 
 
 
いざ準備が整い、流し込みが始まる。
たったの一回勝負。空気がめちゃくちゃピリピリする!ちょっと怖い。けど、めちゃくちゃ美しい。
 
 
 
流し込み自体はものの3分くらいで終わってしまう。一生で一度見るか見ないかのこのシーンを目に焼き付けるために写真は撮らなかった。あっという間だった。
 
無事終わって、鋳造所の職人らと私で撮影。みんなかっこいい!
これはフォントヴロー修道院のアートディレクター・エマニュエルと私と社長。
エマニュエルは私よりも号泣しており、私がかなり驚愕した。っていうか見ていた人みんな泣いてた。多分職人の大半も、号泣とまではいかないにしても、目が赤くなっていた。
 
今まで頑張って来てよかったな…

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