2021-02-25

「絵を描いてもなんにもならない」

本当美しい、フォントヴロー。
 
作業場。足場の上。
こんなもので描いている。
うん、汚いよ。

 
時々、こうして巨大空間で一人絵を描いている状況が滑稽でたまらないと思うことがある。色んな人が「牧子が絵をかく」ということを全力でサポートしているというこの状況に。みんなありがとう。
 
 
 
フランスに来たてで仏語もままならなかった11年前、友人の紹介で知り合った人に
 
「絵を描いているの?そんなことしても何にもならないよ。」と言われたことがある。
 
 

奇しくもその人は美術学校の卒業生で(ナントではなかったけど)、当時グラフィックデザインをしながら生計をたてていた。なかなか仕事がない、と愚痴を言っていたのをよく覚えている。
 
私は彼の発言にかーーーーなり驚いた。
「なんで?」と聞き返した私に「お金にならない」と彼は答えた。
 
私は(なんて夢のない、つまらない人なのだろう かわいそうに)と思ったと思う。ましてや私はフランスに来てほやほや、夢を持った若き外国人学生。たどたどしくもそれなりに頑張って外国語を話す、そんな若造の希望や夢をバキボキとへし折る発言をする人間性を疑った。(今思えば そういう私のやる気に満ちた感じが気に入らなかったのかもしれない。本当に意地悪な人だったな…)
 
彼が「絵を描いても何にもならない」言ったのは、 多分彼自身そう言い(思い)続けることによって暗示のようなものをかけているのかなと思った。だからいつまでたっても何にもならない。「何にもならない」のは、彼がそう思っているからだよ。
 
 
 
 
 
そんな人と友達でいたいと思う筈もなく、もうそれ以来全然連絡とってないしとりたいとも思わない。でももし今どこかでバッタリ会ったら「道は険しいが、その分素晴らしいことがたっっっっくさん起こる」 と言うでしょうな。

飲んではしゃべって

とある日のお昼。Ackermanのマーケティング部スタッフの皆様と一緒にお昼ゴハンいただきました。
ちゃんとソーシャルディスタンスを守って。
みんなめっちゃ綺麗な格好しているのに、一人ツナギで飛び入りしちゃって超場違いだった笑
 
でもこういうとき「アーティスト」っていう職業(というか言葉?)は便利で、わたしがどんな変なことを口走ろうが汚い格好をしていようが「まぁ彼女はアーティストだから」といって問題なく受け入れられるのだった。べんりぃー

超美味しかった!
当然だけどワイン屋なのでもちろんみんな昼から飲む。
わたしも1杯頂いたが、さすがに午後は足場に乗って作業するしそれでストップ。

食後にみんなでコーヒー。
横にはわたしが差し入れした大福。日本産ではないけど、わたしはこれを手土産用に愛用している。3種類あるし15個もあるし便利。
パリとかナントでは大福を出してもみんな「あぁ、mochi(モチ)ね〜。」って受け入れられるんだけど、ソミュールでは全然浸透してなくて逆にびっくり。柔らかい食感にみんな目を丸くして驚いていた。


そして
この日の午後は来客があった。

スタージュの記事を書いたあとですごく偶然なのだけど、わたしが学生時代にしたスタージュの責任者?みたいな人からちょうど連絡が来た。
 
その人は当時から友人で今も仲が良い。わたしより一回りくらい年上なのだが、全然気取ってなくて自由奔放な立ち振る舞いが本当魅力的な女性だ。数年前にナントから引っ越してしまいもう2年くらい会っていなかったのだけどメールが来て

「今度ソミュールに行くけど牧子に会いに行ってもいいーー???」
と言ってくれた。
 
で、本当に来た!
 
このときの再会があまりに嬉しくって、マスクお互いにしてたけどハグした。。。ちょーうれしー!ひさしぶりぃいい
 
ソミュールで活動している友人アーティストを連れてきてくれたんだけど、その人も本当に素敵な人でいろいろ作品について助言もしてくれた。気づいたら3時間!!話しても話しても話題が尽きない。


スタッフのはからいで最後にはワインの売り場で試飲させてもらって、この日は昼から飲んではしゃべって飲んではしゃべってだったな・・・。でも本当に良い一日だったし、こういう日があってもいいなぁとしみじみ思った。
 
毎日の制作はかなり孤独。それでも一人でいるのはそんなに辛くなく、むしろかなり気に入っている。でもこうして作品の話を深々出来る友人らと会ったら、普段貯めていた色んな感情や思いが湧き出してやっぱりこういうの恋しかったのかもしれない、と思った。
 
 

2021-02-23

スタージュ。

ここ数年前から、「あなたの元でスタージュ(研修・インターンシップ)をしたいのですが」というメールを時々受ける。送り主はもちろん美術系の学生だが、一度だけ歴史を学ぶ学生からもメールが来た…
 
 
フランスの学生はスタージュをすることが義務。期間はそれぞれで、長くて数ヶ月。スタージュ先でそのまま就職する人もいたりする。そして受け入れ先を見つけるのがなかなか難しいという話を聞いた。(今はコロナの影響でもっと大変だろう)
現役で活動しているアーティストの元で仕事ぶりを見るのはさぞかしためになるだろう。今思えば私も好きな作家に直接コンタクトしてスタージュお願いすれば良かったなーと思う。
 
 
学生時代私がしたスタージュは、ナントのHab Galerieというアートスペースで展示説明や監視の仕事であった。自分の語学のレベルがそうとう低かったし、そんな程度で現代アートの話が出来るはずもなく(日本語でも危ういが)、当たり障りのない感じで数ヶ月のスタージュが終了した。(今となってはよく私を受け入れてくれたなぁという感じですが。。人はとても優しかった)


 
 
で、私は今の所一度もスタージュを受け入れたことがない。
あまりに個人作業が多いのでそもそも研修生にどんな仕事をやらせてあげればいいのか分からない。友人アーティストの中には研修生を快く受け入れている人もいて、調べ物をさせたり制作を手伝ってもらったり、本当うまくやっている。単純作業が多い作品を作っている人は助かるよね。そうやって若い層に色んな経験をさせてあげているのはとても良いことだなぁと思う。


人を雇うって、それだけでこちらがわの仕事が増える気がする。でも若手育成には必要なことだし、わたしもそうやって色んな人に迷惑をかけながら学んできた。だから「あなたの作品が好きだから、あなたの元で学びたい!スタージュをさせてくれ!」という人をこうして断り続けるのも、実は心が痛むのであった。自分だけたくさん学んで、人に(社会に)還元していないという罪悪感がある。
 
 
 
もう少し自分に余裕が出来て、タイミングもあえば受け入れたいとは思うのだけど。

2021-02-22

ackermanの外観とか

そういえば載せてなかった、私が毎日通っているMaison Ackermanの外観です。
かなりオシャレ。
夏には野外でコンサートも開かれるとか。

これはお隣だけど。

スパークリングワインが有名なackermanですが、他にも色んな美味しいワインが売っています。試飲も出来ます。
 
毎朝この売り場の横を通って、従業員のみなさんに「やっほ〜」と挨拶して、持ち場に行く。時々休憩のためにコーヒー一緒に飲んだり。
職業柄か、ここで働く人はみんなとても綺麗な格好をしているが、私は青いツナギに絵具まみれで普通にうろついている。みなさんとっても優しい!


2021-02-21

ドキドキ

顔を描いていたのだけど、なんか変に優しい感じになってしまって私らしくない。そこできつめの線を思いっきりいれて、憤った顔にしてみた。
 
これこれ、こういう感じよ!スッキリした。。
時々むしゃくしゃするほどに上手くいかない。だから泣きそうになるし全てが嫌になるし帰りたくなる。寒くて暗いところで一人でなにやってんだろ私、って。でも時々、絵の結果にかかわらず描くことが楽しすぎて感動して泣きそうになる(笑)あーでもないこーでもないって色を重ねたり形を探っている感じが本当にたまらない。
期限のあるプロジェクトなのでどんどん進めなきゃいけないけど、進んでしまったら それはつまり終わりに近づいてしまうということで、ひたすらもの寂しくなるのだった。もう半分くらいに来てしまった。。。どうしよう
 
 
今日は鮮やかな青色を新しい場所に塗ったら、その色があまりに美しかったし石の地肌(というのだろうか)の色とすごく合って、それだけでとても胸がドキドキしたのだった。今でもその色合いを考えるだけでワクワクするし、その青色がこれからどう形取っていくのか考えるとウキウキする。
 
 
この感覚前もあったなーって思ったけど、2年前のホテルプロジェクトの時もこんな感じだった。っていうかもう2年経つんだ!
 
毎日の制作の時間を大切に過ごしていきたい。

2021-02-20

フォントヴローで朝食を

ここ数ヶ月前からずっと朝ごはんを食べない生活をしていた。単純にお腹が空かないからと、「1日3食だと胃が休めない。っていうか食べ過ぎ」という情報を得たからであった。

だけど今朝なんとなく久しぶりに朝ごはんを食べることにした。天気が良かったのでテラスで!
 
気持ちよすぎ、なんじゃこりゃぁ
最高じゃぁああ
 
キッチンには食パンしかなかった。パン大国にいながら食パンを食べるなんて、、とお思いでしょうみなさん(つまりはパン屋に行くのが面倒臭い)

これからは時々
朝のこの優雅な時間を大切にしようと思う。

2021-02-19

梨とまここ

ナントに用事があって、一瞬行ってすぐ帰ってきた。

用事の合間にに会ってきた。
会う前にアジア食品店で食料を調達したのだが、レジの横に立派な梨が売っていた。
 
 
ごくり・・・
 
(買った)
一つ 2.8€(だったかな)の高級品。日本円だと350円、たかっ(って思うけど、日本でも実は美味しい梨はそんな値段なのかもしれないなーと思った)
それにしても大きい。
よく見ると韓国からのものだったけど、味はきっと私が知っている梨と同じなのでは…という大きな期待を持って兄と食べた。
そしたら感動するくらい、想像してた味とそっくり!!!
めええええっっっっちゃびっくりした!
美味い、うますぎる!!超ジューシー!!!
日本で食べ慣れた美味しい梨食べるの何年ブリだろ・・・


 
兄は「なにこれ・・・リンゴの食感と全く一緒なのに、味がリンゴではない…」みたいな、意味不明のような当たり前のようなことを口走っておった。 

私が目をうっとりさせてシャリシャリがっついている間に、兄はちゃっかり種を採集していた。
ぜひ庭でこれを育ててほしい。。





帰りに郵便局に小包をとりにいった。
外に出てふと見ると、こう書いてあった。
 
まここー!!!!! 笑
まじ好き。好きすぎる。
こんな間違いを自然にできる郵便局員の人は絶対いい人に決まってるじゃん
 

2021-02-17

いろいろ

宿泊しているAbbaye Fontevraudでは他のアーティストとの交流もある。この日はみんなでテラスでビール。こういうの、、久しぶりだなぁ。。。
私はタバコを吸わないので、普段全然テラスにでない。少し涼しいのを我慢してテラスでみんなでビール、最高じゃん。タバコを今から吸おうとは思わないけど、健康被害の裏で喫煙にはいろんな特典が あるのではないか。(たばコミュニケーションとか)


パン屋を楽しむ
この前のマルシェ。寒すぎて塩をまいていた。

Aといろんなワインを飲んだ。一人で飲んでも面白くないので。
タルティフレットを一緒に作ったが、これほどまでに美味しいものだと思ってなかった。しかも翌日はもっと美味しいというオプション付き。。冬の料理、サイコーでした。


昨日作業を中断してお昼にしようと思い外にでたらめちゃくちゃ天気がよかったので、そのまま外で食べた。週末あんなに寒かったのに、なんかもう春なんですけど。
白い帽子が痛んだので、新しいの購入した。
描く場所が進むにつれ、肩や首、腕の疲れが増してきた。あと1ヶ月半もたせなきゃいけない。大丈夫かな。。

2021-02-16

日曜

Aとマルシェ散策。この日はたまたま蚤の市もやっていたので徘徊。ロワール川沿いにたくさんの人がブースを構えていたけど、寒すぎて長いこと見てられなかった…
  こんなカッコイイ船もあった。


ここで仕入れた牡蠣を食べたけど、久しぶりでやっぱりうんまぁああい!
 
そのあと昨夜に作ったタルティフレットも一緒にいただく。肉屋で買ったロースト豚?も格別だった。。で、昼から食べ過ぎた私たちはそのまま昼寝した笑

2021-02-14

Fer à cheval

すんごい寒い!!
毎日氷点下、日中も氷点下。
Aがフォントヴローまで週末遊びに来てくれている。2週間ぶりに会って嬉しい。
ずっとノンストップで仕事をしていたのだけど、いい機会なので日曜はお休み。ぐっすり寝て英気を養っている。
 
 
 
写真はFer à chevalというパン。日本語で「馬の蹄鉄」。なかにはりんごのコンポートが入っており、これがめっちゃくちゃ美味しい。ソミュール中のいろんなパン屋のFer à chevalを食べてまわりたいほど好き。
ソミュールには国立乗馬学校「ル・カドルノワール・ド・ソミュール」というのがあり、馬との関係は切っても切れない関係にあるのだ。


 

2021-02-13

報われた

足場を高くしてもらった。
フォントヴローのテクニシャンCが一人でやってきてくれたけど、なんと私と2人での作業。2人で出来るものなんだね。。 Cは高いところなんてお手の物。見てる方がドキドキして汗が出た。
 
そして昨日、早速このグレードアップした足場(高さおよそ9から10メートル)に乗って絵を描いていたけど、このとき人生で初めて
「子どもの頃運動やっててよかった(のかも)」って思った。笑
 
制作って体力勝負。
子どもの頃週末返上でバスケットに打ち込んだ日々を、大人になるにつれ「何の意味があったのだ、もっと文学や映画などに打ち込めばよかったのに」と思っていた。もう長らく運動はやってないしバスケットボールをやっていたのは思春期から大学の頃だけど、あのとき死ぬ思いで動かした体の感覚が今やっと生きている、と思う。(あそこまでキツく運動する必要はなかったかもしれないけど)
 

やっと報われました。。
 
 
体づくりは大切だ、自分を労って制作続けていこうと思う。


2021-02-11

最近食べているもの

最近狂ったように摂取しているもの。
 
ざくろジュース。
 とバナナチップス。
どちらもオーガニックスーパーで買える。それにしても美味しい。あと写真には撮らなかったけど、牛乳をやめてライスミルクをコーヒーに入れて飲んでいる。
 
 
 
画質悪いですが、最近のお弁当。
レストランやカフェがそもそも閉まってるし、歩いて気軽に行けるパン屋もないのでお弁当必須。揚げ物とかしてバリエーション広げたいとも思うんだけど、面倒臭いし時間もない。美味しいお米を買ったので、しばらくは米をエンジョイします。

2021-02-09

ひとり

日中はずーっと絵を描いている。とにかく絵の具の扱いがゲキムズなのだけど、それも含めてめちゃくちゃ面白い。

なかなかイマイチうまく自分の思うように行かないからこそ面白いのだと思う。難しいから、とにかく時間をかけて絵の具を重ねに重ねて解決策を見つける毎日。
 
寒くて作業に支障が出るかと思ってたけど全く気にならず。ずっと動いているし、年中14度くらいの気温が保たれているそうだ。(だからワインの保存に適しているわけだ)
 
 
そして首が痛くなると思っていたけど、今のところ特にそうでもない。電気グルーヴとか宇多田ヒカルかけて時々一人で踊ったりしている。
 
 
実はこのプロジェクト、たくさんのスタッフに「アシスタント必要でしょう」「1人でできないでしょ」と言われ続けている。私だって、大勢で一緒に出来るならしたい。けれども一枚の絵を描くのに大勢で描くのは無理があるというものだ。ましてや私はその場で絵の構成を考えるので、残念ながら人に指図したりなんか出来ない。。
絵の具を作ったり、足場の移動に人の助けが必要になるかと思っていたけど、絵の具を作るのはそんなに時間がかからない。作っているときは首を休められるので、逆にその作業がないと体がしんどい。足場の移動もけっこう簡単に出来るので、結局は一人で十分なのだ。
 
 
フランス人たちは、人と助け合うことが上手だと思う。困っている人を助けるのは当たり前で、横のつながりが強い。そして1人で何かをしていると「寂しくないのかな、1人ぼっちでかわいそうだな」と思われることが多々有るように思う。
 
私はこう見えて「気にしぃ」のプロなので、気軽に「ちょっとコレ手伝ってー」なんてなかなか言えない。日本にいたときよりか言えるようになったと思うけど、今もそんなに言えない。本当はもっと言えたら楽なんだろうけど、人の時間をわざわざ奪わなければいけないのなら、自分でちょっと頑張って一人で色々やってしまう。でも助ける側は、時間を割いてでも誰かの役に立てれば嬉しいと思う人がほぼ大多数なのも知っているんだけど。
 
 
今回の制作もずっと一人でやっているけど、広大な空間で集中出来てものすごくやり甲斐があり、楽しい!なのに、スタッフのみんなに「助けがいるでしょう」「1人で寂しいでしょ」としょっちゅう言われる。安全の問題もあるけど、できればソッとしておいて欲しいのが本音だ。
研修生を雇うことをゲキ押しされているが、それをすると一日中気を使わなければならず(朝ごはんタイムから夜ご飯タイムまで)、逆にめちゃくちゃしんどい。。そして何より彼らにお願いする仕事が、ない!!




そしたら今日、様子を見に来たスタッフMがようやく私の思いを理解してくれた。楽しそうに制作する私をみて、進行具合をみて、やっと折れてくれた。(よっしゃああああ)
本当に私はいい人に恵まれている。
 

2021-02-08

マルシェ

朝、起きたらめっちゃ天気が良くて。
ヴォレ(雨戸みたいなやつ)開けたらこんな世界が広がっててたまげた
どこの国やーっ!て、
 
フランスやー
人生の3分の1もこの国に住んでいるのに、こういうところ来るとめっちゃ外国来た感ある。

 
中心地で市場がやっていたので仕事前に散策。
ロワールの水位高すぎ。。

マルシェは、雨が降っていたにもかかわらず沢山の人で賑わっていた。ここのお店で乾物をいろいろ買ったが、売り子のおばちゃんがすごく優しくて奮発した。

 
ソミュールのマルシェでは
「エスカルゴだけ」を売っているおじいさんや
「キノコだけ」を売っているおばあちゃん、
「3種類くらいだけしかないパン屋」も見かけて、こういうのはナントにないなぁと思ってびっくり。
ちなみに老夫婦からパンを買ったんだけど、すんごく美味しかった。また週末通うと思う。応援したくなる。。
 
 
コルテオ 太陽光発電