2025-09-24

スキューバダイビング

木曜の夜、ジョルジュが突然トゥーロンまでやってきた!
突然と言っても一応午後に電話があり「まだ色々仕事が残っているんだけど、行けたら行ってもいいかな…?」と言うので「もちろん!」と返事はしたものの、それから数時間連絡がなかった。痺れを切らして電話をすると「あと3時間で着くよー」と言うので大喜び、その場でガッツポーズした!笑
(6時間の運転ご苦労様!!!!)


そして結局火曜の朝まで彼はトゥーロンに滞在した。

土曜日突然「ねぇ牧子、スキューバダイビングしてみない?」と言い出した。
彼はライセンス(レベル1)を持っているのだけど、しばらくしてないからいい機会だと。わたしはもちろん全くの初心者で、何にも知らない。(実は昨年の夏にジョルジュから提案されたものの、時間がなくて結局しなかったのだが、それ以来すっかり忘れていた)

フランス語ではBaptême de Plongéeという(つまりはスキューバダイビング経験)。大体80−100ユーロくらいで出来る。道具も全部貸してもらえる。


良さそうなクラブをイエール市に見つけ直撃すると予約はいっぱい。翌日日曜日午後には空きがあるそうなので予約をしたはいいものの、日曜になってみると天気は嵐。午後2時に始まるコース、大丈夫かな?朝のうちにクラブに電話をすると「嵐は夕方からだから大丈夫」と言う。ただわたしが超・初心者であることでジョルジュがとても心配し、結局翌日月曜に予約を変更してもらった。
(結局、嵐は夜にめちゃくちゃ巨大化しトゥーロンで劇的な水災害を起こすのだが、午後は特に問題もなく海はめちゃくちゃ平穏だったと言うことはのちに知ることとなる)


月曜日。
ドキドキしながら早めに現地到着。
名前や住所など必要最低限の情報を記入しいざ行かん。
私たちの他に、消防士の方々が数名訓練講習のために船に乗っていた。他にも3人ほどすでにレベル1のライセンスをもった方達がヴァカンスで来ていた。
わたし↑この時点で結構実はちょっと苦しんでいる。
なぜならウェットスーツが思ったより締め付けが強かったのと、とにかく波がすごくてすぐに船酔いがスタート。インストラクターの方(おそらく私よりとても若い。穏やかでめちゃくちゃいい人だった)がわたしとジョルジュ二人だけのために付いてくれて色々説明をしてくれる。頑張って聞くが、それが終わるともう気持ちが悪くて悪くて。
ジョルジュが気を利かせて冗談を話してくれたり、酔いが軽くなるように色々呼吸法とか教えてくれるけど、全然頭に入ってこない。水平線を見ているだけで精一杯。

15分くらい船に揺られ、波が少ない場所に辿り着く。
さて消防士の方々がどんどん海に入っていき、私たちはゆっくりスタート。


ところがわたしが船酔いがすごくてフラフラ。
それを見かねたベテランインストラクターのおっちゃんが「牧子、ちょっと泳いできな!楽になるから!」と、ゴーグルとシュノーケルとフィンを私につけさせてくれた。
ただね、びっくりなことに私この時人生で初めてシュノーケルとフィンを使ったのですよ。だから使い方がわからんの。ベテランおっちゃんはかなり驚いていたが、テキパキと説明をしてくれて私を海に送ってくれた。

そして少しずつ口呼吸でぷかぷかと泳いだ。


なるほど、だいぶ船酔いは良くなってきている。
プールでクロールで泳ぐ時は鼻から息を吐いて口から空気を取り入れるので、口呼吸がなかなか慣れない。かなり不安になる。こんなんで中に潜れるのだろうか自分


今までに何度か体験した閉所恐怖症のあの「ゾワゾワ・冷や汗感」がやってくる。やばい、さすがに私今回無理かも。怖い!



不安ながらもとにかく今できることといえば海を楽しむことだ。
慣れるっきゃない、と思って一人プカプカ泳ぐ。少しずつ良くなっていく。あ、マシかも。口呼吸大丈夫そうかも。
そして流石におっちゃんたちから「牧子ー戻ってこーい」と言われてドキドキしながら船に戻る。


そしてついに酸素ボンベ?をつけてもらって少しずつ少しずつ深く潜っていく。インストラクターの方がめちゃくちゃ有能で、すーーーんごく穏やかな方で信頼出来た。彼が私につきっきりで指示を出してくれ、ジョルジュはその横で一緒に潜る。
少し潜ると「耳抜き」をしなければいけないいけないのだが、口はチューヴァにくっついていて開いたままだし、何より私の鼻が小さすぎて、指で摘んでもマスクの上から鼻を塞ぐことが出来ない!!これにはみんなびっくり、確かにアジア人の鼻に全然合ってないもんねこのマスク!全然鼻摘めないよ!

耳抜きが全然出来なくて一度軽いパニックになりすぐに海から上がる。インストラクターの方が別のいろんな方法を指導してくれてなんとか。その教え方も本当に穏やかで、全然慌てない。この人すげーなーとやたら感心した。
両手の人差し指を使って鼻を閉じる方法と、自分で見つけた「唾を飲む」方法が一番私にはやりやすかった。そして何とかクリア!少しずつ潜る時間・深さを大きくしていく。



そしてね、ある瞬間、突然 魚の大家族を見たのですよ。目の前に。
全然逃げない、わたしたちと一緒に泳ぐ魚たち。いろんな種類・形・色の魚たちがわんさかと泳いでいた。そしてインストラクターの方に言われて上を見上げると大量の小さな可愛い魚たちが私たちの真上を気持ちよさそうに泳いでいた。この角度でこれだけ大量の魚を見たのは初めてで、その時ちょっと泣いたのでした。
なんだこれ、こんな世界見たことなかった。。。


自分の吐く息が外に出ていく音しか聞こえない。
全てがゆっくりに動く世界。
波に合わせて海藻か草がグワんと踊る。
突然大きな魚が目の前を横切る。
不思議な感触の岩、海藻、なんだろうこれ?


この日は嵐の翌日ということもあり海の水は少し濁っていたそうだけど、私には十分美しくてあまりに印象に残った。見た目の美しさはもちろんだけど、このなんともいえない海中の沈黙が印象的で、その日以来 何度も何度も水中にいたこの瞬間を思い返している。

息が思うように出来ない不自由さが、ある瞬間を境に突然かけがえのない自由になる。


ジョルジュが言うには「車の運転みたいなもの」。
クラッチペダルを踏んで1から2、2から3とギアを変えるのは 慣れると無意識にやっちゃうように、口呼吸も慣れれば全く意識せずに出来るようになるとのこと。ただ私は初心者だからどうしても意識せざるを得なかった。それが逆に自分を苦しませてしまってた。


美しくて感動しまくってるくせに怖くて、2時間講習の間ずっと手先が震えていた私。

終わって船に上がるとなんともいえない。不思議な思いがいっぱい。あれ、私がさっきまで見てたもの、いた場所、あれ、なんだったんだ?!!??
ただ船に上がった瞬間からまた船酔いが始まり、ウェットスーツを上半身脱いだにもかかわらず酔いが増し、ゲーゲー吐きながらの帰路となりました。笑
クラブのおっちゃんたちはみんなとても優しく、大丈夫か?と何度も声をかけてくれた。みんな船酔いの経験があるからなんだよね、本当ありがとう。


吐きながら「もう絶対やらないだろうな」「早く陸に上がりたい」と何度も思ったはずなのに、今では「またスキューバダイビングやりたいな・・・」と思い始めている私。変だね

(片付けを手伝うジョルジュ。クラブのおっちゃんらからお前パリジャンやろ!と色々いじられてたらしい。私がゲーゲー吐いている最中周りの人たちと仲良くなってて面白い)


帰りに良さそうなサーフィンショップを見つけて入るとバーもやっており、こんな素敵な景色を見ながらコーラを飲んでチーズとシャルキュトリーで乾杯しました。

ジョルジュのプレゼントだった今回の講習。本当に素敵な経験をありがとう。

彼は終始私のことを見ていたらしいが、魚に感動した瞬間・インストラクターを信頼した瞬間、それぞれを目の当たりにしたらしい。

「もうね、牧子の目、キッラキラしてたよ!」とめちゃくちゃ嬉しそうに言ってて、この人可愛いなーと思った。

またやりたいけど、瞑想とかで呼吸方法とか練習したい。
また魚たちにあいにいきたい!

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