2023-08-23

サン・ナゼール回想①

前回の惨事のあとなので複雑な気持ちでSaint Nazaireに向かう8月16日。駅に着くと市の人がちゃんと時間通りに私を待っている。
車に乗り込み現場に向かう。
怒りはもうさっぱりどっかにいってしまっていたし、何もなかったかのように彼女と会話する。びーっくりするくらい普通に。笑 
 
それから二人で絵の具を受け取りに行くと、お店の人がこれまたいい人で。
「牧子の仕事、インターネットで拝見しました。どんな壁画ができるのか楽しみにしてますー!制作過程を見に、営業担当の同僚と一緒に伺いますね」
とか言ってくれる。最高。
 
 
そして、現場に戻るとエオルが到着していた。
エオルは私より10歳ほど年上。奥さんと子ども2人とレンヌ近郊に住んでいる絵描きだ。主に巨大壁画を得意としており、ロープに釣り下がって絵を描いたりもする、絵描きでありパフォーマーでもある。最初会った時びっくりした。彼は背丈が190cmほどあり、しかもすでに絵の具まみれの服で、自分でデコレーションしたカラフルな車の前で気持ちよくタバコをふかしていたから。笑

このおっさんと10日間作業するのか…と、顔は笑っていても内心めっちゃ不安。大丈夫かな。。。
 
 
それから挨拶もほどほどに準備を。すでにお昼の12時ごろだったのであるが私たちは作業を開始した。

まず背景を塗った。「まず背景を塗る」ということを私は普段しないので、こんな方法で大丈夫やろか。。と進めながら思う。クレーン車(しかも乗るところめっちゃ狭い)に二人、その場その場で色を指定し、二人で進めて行く。彼はしきりに「下絵印刷して来てないの?それがあると早いじゃん」 というが、わたしは彼にすでにメールで送っていたし、そもそもこれは最終決定されたものではなく「イメージ」であるとも言っていたので、見せてもしょうがないんだ。
 
1時間半ほど作業してお昼ご飯を食べに辺りを歩くと、時間はすでに遅し。めっちゃ高級なレストランしか空いてなかった。 絵の具まみれの私たちを見ても何もいわず、綺麗なテラスに案内してくれるウエイトレスのみなさん。写真に撮ればよかったけど、私たちが汚すぎてお店の雰囲気に合わなすぎて、私は笑いをこらえきれなかった。
 
わざと日本っぽいピース。
このTシャツは金沢美大のバスケ部のもので、長いこと着てなかった。しかしTシャツを着て作業したのは初日が最後、暑すぎて2日目からはずっとキャミソールだった。サン・ナゼールはもっと涼しいかと思ってたのが大誤算だった。
午後。
2人でクレーン車に乗ると容量が悪いので、私は彼におおまかな色を指定し、エオルは上の部分を、わたしは地上に残って下の部分を進めた。
なんと数時間であっという間に私たちは 全面積を塗り終えた。そのときおそらく16時半くらい。びっくりした。。。通行人の人々もめちゃくちゃ驚いていた。彼はとにかく描くのが早い。私自身けっこう描くの早いと思ってたけど、彼は全然格別。25年もこの仕事をやってきているから容量もいいよね。

 

今回の宿は、壁画を描いているまさにその建物。もちろんエオルも同じ。作業中だけでなく、朝起きて部屋を出ると彼が向かいの部屋にいるという同居生活。朝から晩までずっと時間を過ごした。もし全然気の合わない人だったらどうなってたんだろか。そういうことも含めて、今回のプロジェクトは特別ストレス大であった。
この建物に住む大家さんが私に自転車を貸してくれた。エオルはマイ自転車を家から持って来ていたので、2人で買い物ついでに街をサイクリングすることに。
 
 
 
彼は二児の父でもあり、過去に2年半かけて世界一周をした過去を持つひとなので、あの見た目ではあるがかなり常識人だった。スーパーで食料を買いこむときも、意見があってめちゃくちゃ楽だった〜。

そのあと海に行ってひと泳ぎし、市の人も合流して3人でバーでビールを飲み、また自転車に乗って家に戻ってきた。
 
 
海沿いを自転車で走っていると、なんともまぁ気持ちの良い風を感じる。
2日前はあんなに怒ってどうしようもない気持ちでいたのに、なんとまぁ状況が180度変わった。壁はひとまず背景が塗られひと段落。しかもまだ日は暮れておらず自分は気持ちよく自転車に乗っている。なんてこった。  

エオルが料理してくれた。ガレット激ウマでした!
こんな感じで1日目終了。

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