友人に誘われて小津安二郎の「秋刀魚の味」(1962)を観て来た。実は、誠にお恥ずかしいことですが、わたくし小津安二郎作品を観たのはこれが初めてでした。フランス人らに背中を押されて見に行くわたし。
場所はLOUXOR
この映画館もなかなか味があってよかった。
フランスに来てからというもの数えきれないほどの人から「小津作品は良い」と言われてきた。なのになぜか今の今まで見ようとも思わなかった私。なぜだろう、もっと早くに見ればよかった。(他に口を酸っぱくして勧められたのは溝口健二、成瀬巳喜男、黒沢明、そして映画ではないけど谷崎潤一郎の陰翳礼讃などをすすめられた。フランスでは一時期日本映画ブームがあったそうで、そのときに色んなところで作品が紹介されていたそうな)
タイトルは秋刀魚の味。だけど、フランス語訳ではLe Gout du saké(酒の味)となっている。映画を見に行く前から「なんで秋刀魚って訳されてないんだろ」と疑問だった。しかも映画の中には秋刀魚なんて出てこない、唯一出てくる魚は鱧(ハモ)だ。
この映画は娘を嫁にやる(この言い方もすでに大変腹立たしい表現だけど)初老の父の複雑な気持ちや孤独を描いた話だ。旬な時期の脂が乗った秋刀魚と、24歳というまさしく結婚に適した年齢に至った女性をかけてるのかなーなんて思ったけど、どうだろう。それにしてもこの考え方、自分で言っといて本当にひどい。。
あまりの寂しさから、父親が料亭のおかみさんに笑いながら・それでも割と真剣に「娘を育てるのは全くつまらんね」と言うようなことを言っていて会場からは呆れにもにた笑いが聞こえた。
たまたま数日前、わたしはジャック・ドゥミのロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort, 1967)を見たばかりだった。「秋刀魚の味」とだいたい同じ年代の作品なのに、女性の振る舞い方が恐ろしく違って面白かった。(フランスでももちろん女性軽視はあったし今もめっちゃある。フランスが何もかも素晴らしいとは全然思わない)
見よキャトリーヌ・ドヌーヴのこの座り方!映画の中ではこの姉妹の母親でさえも自分の人生を謳歌している。
面白い映画を堪能して外に出たら、やっぱりあんなにお酒を飲むシーンを見させられてみんな喉が乾いていた!夜もけっこう遅かったので開いてるお店がなく、夜の街をみんなでブラブラ。
なんとたまたま日本食レストランを見つけて入った。
momoka
24 Rue Jean-Baptiste Pigalle, 75009 Paris
少し試させてもらったけど、私は人生で全くもってタバコというものをを吸ったことがないのですが、葉巻の味のうまさというものがいまいちやっぱり分からなかった。見た目はかっこいいけどなぁ ま、別に無理に吸うもんでもないし。
楽しい宴であった。
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